魔女と占い
多くの魔女は占いを多かれ少なかれします。
別に統計をとったり、アンケート調査をしたわけではありませんが、現在魔女を名乗っている人のほとんどが占星術かタロットカードでの占いをメインとしているのではないでしょうか。
しかし、実のところ、占星術もタロットも本来は魔女のものではありません。
本来の魔女の占いは天文歴やタロットカードといった「占い専門用具」を使う占いを避けてきた歴史があるのです。
これは考えてみれば当たり前のことで15世紀以降欧米で吹き荒れた魔女狩り(※1)の時代に「占いの専門用具」等を堂々と持っていたらいつ捕まるかわかりません。ですから、魔女たちは水晶球の代わりに水を張った鍋を利用して占って、もし疑われても「料理のために大釜に水を張っていただけです」という言い訳がすぐできるようにしていたり、カード占いもトランプで行い、これも万一疑われても「カードゲームで遊んでいただけです」といいわけができるようにしたりしていました。実際、古くから伝わる魔女のトランプ占いは遊んでいるようにしか見えないものが多いのです。
トランプとタロットだとタロットの方が熟練度が低くても正確に占うことができやすいのは事実です。特にウエイト版やそれをアレンジしたオール絵札のタロットはその絵からその場その場でインスピレーションを得やすく、トランプよりずっと初心者でもある程度は占うことができるでしょう。そう考えると、現代の「安全な魔女たち」が実用的に考えれば昔のように不自由な占いに固執する必要はサラサラありません。そう考えると最初に書いた「現在魔女を名乗っている人のほとんどが占星術かタロットカードでの占いをメインとしている」というのは当たり前のことですし、魔女にとって幸せな時代になってきた証拠とも言えるのです。ですから歓迎すべき事態であることは間違いありません。
それでも、魔女のカブン(魔女のグループのこと)ではそのリーダーがソーウィンの夜に大釜に水を張って「ソーウィンの占い」をしますし、私を含め古い伝統を師匠に叩き込まれた経験のある古いタイプの魔女はあんなに熱中したタロットから年とともにトランプに還っていったりします。
魔女と占いの関係には理屈や利便性では割り切れない複雑な感情のようなものが常にあるのです。
※1魔女狩りは大体15~18世紀までと言われていますが、それはピークがそのくらいまで、というだけで実際にイギリスで魔女狩りが正式に終息したのは1950年に「witchcraft禁止法」が廃止されてからです。また、魔女狩りというとキリスト教国のイメージが強いですが(事実15~18世紀の魔女狩りはほとんど欧米)、イスラム諸国ではいまだに続いています。実際サウジアラビアでは21世紀の現在も合法的に魔女狩りが行われてイスラム宗教省の魔法部が情報収集をし、宗教警察である勧善懲悪委員会が法の下に魔女狩りを実行しています。
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